ご相談の内容

当クリニックで2年前から働いてもらっている週3日勤務のパートさんがいますが、4月から正職員(週5日勤務)として働いてもらうことになりました。この場合、年次有給休暇は正職員になってから、新たに発生することになるのでしょうか?

年次有給休暇の付与日はパート職員として働いていた時から通算

年次有給休暇の付与日は、パート職員から正職員に転換した場合でも、入職時から通算されます。
正職員として働き始めたときから、6か月後にあらためて年次有給休暇の付与を始めるのではないことに注意してください。

「新たに正職員として雇用契約書を交わしなおせば、そこから半年たつまで湯年次有給休暇は発生しないのでは?」というご質問を受けることもありますが、それは違います。雇用契約書を交わしなおすかどうかにかかわらず、年次有給休暇の付与は通算されることに注意して下さい。

年次有給休暇の残日数は正職員になっても引き継がれる

年次有給休暇の残日数についてもパート職員として働いていた時から引き継がれることにも注意しなければなりません。
正職員になったときに、年次有給休暇を5日持っているのであれば、正職員になった時点で5日分取得することができます。

正職員の方が勤務日数が多いので、正職員になった時点で年次有給休暇を増やしてあげる必要はないのか?

労働基準法では、所定労働日数が増えたとしても年次有給休暇を増やすことまで求められていません。
したがって、正職員に転換したとしても、既に持っている年次有給休暇の残日数に不足分を追加する必要なありません。
しかし年次有給休暇の残日数を追加することを、禁止しているわけではありませんので、各医療機関が判断し、福利厚生の一環として正職員転換時に増やしてあげても構いません。
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例:平成27年4月に入職したパート職員(週3日勤務)が、平成29年4月に正職員(週5日勤務)になった場合

パート職員(週3日勤務)の場合の年次有給休暇付与日数

正職員(週5日勤務)の場合の年次有給休暇付与日数

平成27年4月に入職したパート職員(週3日勤務)が、平成29年4月に正職員(週5日勤務)になった場合

平成27年10月と平成28年10月の年次有給休暇の付与日数は、週3日勤務の表のとおり年次有給休暇が付与されますが、平成29年10月には正職員の表のとおり、年次有給休暇が付与されます。
この時に付与される年次有給休暇は、2年6か月の欄の日数であることに注意してください。

まとめ
専門職の多い医療機関では、退職後の人員補充がうまくいかなかったり、産休や育休を取得する代替職員の採用がうまくいかない場合に、パート職員を正職員に転換することがあります。
そのような場合であっても、新たに正職員になった職員に、誤って不利益な対応をしてしまわないように気を付けなければなりません。
特に年次有給休暇については職員に認められた労働基準法上の権利ですから間違えのないように取り扱いましょう。

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