院長や事務長とお話をしている中で「年次有給休暇」と「有給休暇」の用語を混同していると感じることがあります。
これは私たち社会保険労務士がしっかり区別して使用していないことが原因の一つでもありますので、反省しなければなりません。
この項目は年次有給休暇について説明をしていくのですが、その説明をよりわかりやすくするためにも、「年次有給休暇」と「有給休暇」の違いについて最初に説明します。

労働基準法第39条による有給が年次有給休暇

年次有給休暇は入社後6か月を経過したときに付与されるものです。正職員であれば6か月経過で10日、さらに1年経過で11日・・・というように付与されていく有給休暇が「年次有給休暇」です。

会社が任意に設定することができる有給が「年次」がつかない有給休暇

上で見た年次有給休暇とは違い、有給休暇は会社が設定した給料が支給される休暇です。
次の休暇は法律で休暇を取ることが義務付けられていたり、休暇の義務がないにも関わらず多くの医療機関で設定されている有給休暇です。

  1. 慶弔休暇(身内の不幸や配偶者の出産、職員ご自身の結婚、等)
  2. 生理休暇(女性職員が生理日の就業が著しく困難な場合に取得する。有給休暇か無給休暇かは、医療機関ごとに決めることができる)
  3. 公民権の行使のための休暇(選挙権の行使等のための休暇。有給休暇か無給休暇かは、医療機関ごとに決めることができる)

これらの有給休暇は医療機関ごとに設定している有給休暇ですから、年次有給休暇とは違う有給休暇ということになります。

年次有給休暇と有給休暇の略し方

年次有給休暇と有給休暇の違いは理解していただけたかと思います。
ここまで「年次有給休暇」や「有給休暇」という言い方で説明をしてきましたが、説明している私も言いにくいものです。
冒頭でも言いましたが、私たち社会保険労務士を含め、「有給」という略し方をすることが多いです。私もうっかり言ってしまうことがあります。
しかし、わかりやすく略して言うのであれば年次有給休暇は「年休(ねんきゅう)」、それ以外の有給休暇を「有給(ゆうきゅう)」と略することで区別をすることができます。
こうすることで職員さんも院長、事務長もはっきりどちらの休暇の話をしているのかわかりますから、勘違いを減らすこともできます。

まとめ

以前、職員さん向けに就業規則の説明をした時に「慶弔休暇なのに有給を減らされるのは納得がいかない」と言われたことがありました。
しかし上ですでに説明したように、慶弔休暇は年次有給休暇とは違いますので、取得しても年次有給休暇は減りません。
勘違いしやすい部分ですからしょうがないのですが、院長や事務長にはぜひ覚えておいていただきたいと思います。

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